お知らせ

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御開山さまの足跡を訪ねて 2

 5月29~30日は、宮城県で行われた東日本大震災被災物故者3回忌慰霊法要を兼ねた梅花流全国奉詠大会に参加してきました。その話は来月あらためて御報告させていただく事とし、4月17~18日に、御開山さまの足跡を訪ねて秋田へ行ってきた研修旅行についてお話します。

 北秋田市綴子の宝勝寺さまは、このたび開山550年を迎えました。初代住職は明岩桂光大和尚さまで、宝勝寺を開かれ住職を長く勤めたあと、足利に移り、長林寺の三世となられています。龍泰院の開山天山正繁大和尚は、宝勝寺の三世を勤めた後、足利長林寺五世となり、さらには、上金沢の常明寺の二世となりました。その後、天山大和尚は、御前山伊勢畑の長昌寺を開かれ、最後に開山し住したのが龍泰院です。長林寺住職の時代には、輪番住職として、三田の永澤寺の124世住職にもなっています。
 まさに、北から南へ西へと教線の拡大に大活躍された天山様ですが、当時は今と違い徒歩での移動だったでしょうから、さぞ大変なご苦労をされたのではないかと拝察しました。バスで移動しても長く大変行程でした。厳しかった冬を物語るかのように屋根からおちた雪の山に、改めて御開山さまのご苦労を偲んだところです。

 今回は、檀信徒の皆さんと宝勝寺様を訪問できたので、その感動を共有することが出来ました。本当にありがたい御縁をいただいたと思います。本堂で般若心経を読み正法御和讃を献詠し、開山堂をお参りさせて頂きました。客殿では山内の皆様に御歓待いただき、大変ありがたい思いを致しました。出発の時には宝勝寺の秩父住職自ら大梵鐘を撞いてお見送りして下さいましたが、これには、参加者の皆さんも大変感動されたそうです。

 480年の時と520kmの距離をつなげられる、本当にありがたい秋田県宝勝寺参拝となりました。

 研修旅行の様子は 袋田の住職「山寺日記」でもご覧いただけます。

2013-06-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

御開山さまの足跡を訪ねて 1

 4月17~18日に秋田へ行ってきました。目的は龍泰院の御開山さま天山正繁大和尚の足跡を訪ねることです。
 護持会の役員さん、坐禅会の皆さん、梅花講員さん方に声をかけ、希望する一般の方にも参加して頂き38名で袋田を出発しました。朝6時、バスが出る時、中学二年になった弟子の光尚が梵鐘を撞いて見送ってくれました。袋田から福島県南部の塙町のあたりまではすでに葉桜になっていましたが、福島県央、県北、そして、宮城県南部は桜が満開でした。
 せっかくなのでバスを駐車場にとめて宮城県白石川沿いの一目千本桜を見学しました。その本数は1200本、何より感心したのは、樹齢90年の古木が並んでいるのにテングス病や枯れ枝が見られないことです。手間をかけて手入れしているのでこの景観が守られているのだと実際にそばで見て感じた次第です。
 昼食を奥州市の前沢で頂き、角館へと向かいました。岩手の桜はまだ開花してなく、秋田へ入ると周りには雪の山が残り、桜は堅いつぼみでした。同じ東北でもこんなに違うのかと思いました。角館は佐竹北家や会津ゆかりの芦名氏が封された街です。古い武家屋敷や商家、それに常陸や会津ゆかりのお寺がありました。常陸から秋田へ入封された佐竹公やその家臣たちは、長い移動や何か月も雪に閉ざされる慣れない土地での暮らしはさぞ大変だったと思います。そんなことを感じながら秋田での時を過ごしました。その日は、男鹿温泉で参加者の皆さんと懇親を深め、翌日、雪で真っ白な白神山地を見ながら目的地である北秋田市綴子の宝勝寺さまへと向かいました。そこは、天山正繁大和尚が三世として最初に住職を勤めたお寺です。長くなりましたので、続きは6月の法話でお話しさせて頂きます。

 研修旅行の様子は 袋田の住職「山寺日記」でもご覧いただけます。

2013-05-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

生命の樹(いのちのき)

 先月は、10日の朝5時にNHK-Eテレ 「こころの時代」に2011年8月の法話で紹介した金田諦應師が登場されました。(再放送は17日)、また、3月20日には、BS日テレの番組「日本百巡礼という番組で、作家で僧侶の玄侑宗久さんを石巻を案内する形で、後藤泰彦師が登場されました。2012年4月の法話の桜を植える活動なども紹介されました。
 被災地では、復興へ向けた取り組みが進んでいますが、取り残された思いのひと、大事な人を失った悲しみから立ち直れない人がまだまだ大勢います。人間の力でどうにもならない時、桜の木や手作りのお地蔵様が力を貸してくれるのだと感じる番組でした。
 今年は、思いのほか桜の開花が早く、当山の樹齢90年のソメイヨシノも3月28日に開花しました。私の知る限り最も早い開花です。今月中旬には檀家さんを引率して、東北を訪ねる旅を企画しました。ちょうど東北は桜の季節、人々を勇気づけるように咲く桜を観て、東北を応援してこようと思っています。5月には、梅花流の全国大会で講員さんと宮城へ行きます。その頃は緑が深まる時期かと思います。

 樹木や花は人間に生きる力と希望を与えてくれます。それはその根底に命のつながりがあるからだと思います。その生命を詩にしてみました。子どもたちに命のつながりを感じて頂き、未来への希望を失ってほしくないという思いで作った詩です。
 袋田の住職「山寺日記」の記事「生命の樹」で、お読みください。

2013-04-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

東日本大震災から2年になりますね

 1月の法話でご紹介した埼玉県法光寺の大野師から、3月1日に名取市で三回忌供養追悼法要を行うので集まってくれと、竹友寮の同期生に案内があり、出かけてきました。28日に前泊した秋保温泉では、三宅師、大野師、さらに昨年、桜の植樹でお世話になった後藤師と同室になり、いろいろなお話を聴くことが出来ました。

 大震災から丸2年が経とうとしているのに、まだ、多くの被災地で復興の姿が見えてきていません。三宅師によると、瓦礫を取り除くまでは目に見えて進んでいる感じがしていたのに、その後は、なかなか進んでいる様子が見えてこないとの事でした。東禅寺さまのある閖上地区は、盛土をしてかさ上げするところ、集団移転するところなど計画が出てきているそうですが、さらに進めていくには意見調整が大変で、仮設住宅から出て行く人も見受けられるようになってきているそうです。

 東禅寺さまでは、200余名の檀信徒が亡くなられています。ご両親を津波で失った彼は、その悲しみを胸のうちに秘めて檀信徒の皆さんに寄り添っています。旅館の部屋にいる時も、三回忌の相談や檀家さんの親戚の方からの問い合わせの電話が携帯に何度もかかってきてました。

 今日(3月1日)は、閖上の東禅寺さまの本堂の前に集まり、みんなで読経供養した後、午後1時から名取市内のセレモニーホールを会場に三回忌供養が行われ、物故者を追悼し、閖上地区の復興と被災者の生活再建を祈念いたしました。三宅師は、3月11日には、津波が閖上を襲った午後3時53分に檀信徒の皆さんに集まっていただき、本堂の前で手を合わせるそうです。
 私も3月11日は、午後2時46分に追悼法要を行い、東日本大震災の物故者を慰霊する鐘を撞き、3時33分に被災地へ向かって手を合わせるつもりです。東禅寺さまの本堂が再建され、埼玉の法光寺さまが預かっている鐘が閖上の地に戻され、鐘の音が閖上の地に響き渡ることを願って・・・

2013-03-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

百段階段を昇りながら人生を考えてみたら・・・

 以前も月々の法話で紹介したことがある、大子の十二所神社の百段階段。だいご小学校の通学路にもなっているので、子供たちも昇り降りする石段です。先日この石段を昇りながら人生というものを考えてみました。

 まず、12段昇ったところで立ち止まってみました。ここから見える範囲は限られています。長男の光尚は今、その12段目から13段目に登るところ、将来はまだ見えてきませんが。サッカー部で走り回り、中学校生活を楽しんでいるようです。日々の勤めとして、毎朝梵鐘を撞いています。
 15段目になると、少しだけ見える範囲が広がりました。次女の千鶴子は義務教育を終え、高校生になるところです。どんな未来が待っているのかわかりませんが、けっこう頑張り屋で、学校の勉強やピアノの練習に熱心に取り組んでいます。吹奏楽部のファーストトランペットで町の行事にも引っ張りだこでした。
 長女は22段目、大学の卒業が決まり、東京から引き揚げてきました。地元に戻り、社会に出る時を迎えました。街並みが見える高さです。でも、石段の上を見上げるとまだまだ先は長いです。足元を確かめ、焦らずにしっかりと一歩一歩昇って行って欲しい時期です。
 学校での友人関係、先生との関係に悩んでいる人には、この百段階段に来て、自分の今の位置を確かめ、人生を考えて欲しいと思います。自分の未来に何が待っているのか、今はまだ人生という問い階段から見ればわずかな時間を過ごしてきたにすぎません。そうなんです。人生、まだまだ先は長いのです。目の前の事に行き詰った時は、少し未来の自分の姿を想像してみましょう。今やるべきことが見えてくれるはず!

 ちなみに、私はもうすぐ53段目、けっこう昇ってきてだいぶ遠くまで見えるようになりました。でも、まだ全体からいうと真ん中あたりです。一生懸命昇る時です。
 もう少し上ると62段目に踊り場があります。人生でいうと定年を迎える時期ではないでしょうか・・・、少し立ち止まり、人生を振り返り、これからやるべきとこを考えてみましょう。
 母はもうすぐ80段目に昇ります。ここまで来ると街が一望でき、遠くの山並みもきれいに見えます。慌てることはありません。ゆっくりゆっくり昇りましょう。まだ上には21段ありますので、母にはもう少し上の景色を眺めてもらいたいと思っています。

 百段階段は実際には百一段あります。その一番上からの眺めは最高です。皆さんも、そこまで昇って、人生というものを考えてみませんか?百歳生きるのは大変ですが、百段階段の上からの眺めは誰でも見られますので。

 百段階段の写真は 住職のブログ「山寺日記」

  今年も、3月3日にこの百段階段でひな祭りがあります。豪華百段飾りのお雛様をご頂きたく存じます。

2013-02-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

名取市閖上の復興を願って鐘が撞かれます。

 今年、平成25年は、龍泰院が開創されて480年になります。私も住職になって30年という節目の年になりました。今年も檀信徒に寄り添い、被災地へ向きあって過ごそうと思っています。
 暮れに、NHKの早朝のニュースを視ていたら、埼玉のお寺法光寺さまで、宮城県のお寺から預かっている梵鐘を被災地へ向けて撞くという話題が紹介されていました。その埼玉県のお寺というのが、駒澤大学の同級生で仏教研修館竹友寮で共に過ごした仲間大野師のところです。
 大野師は、東日本大震災の巨大津波で、大きな被害を受けた名取市閖上地区にあった東禅寺さまの本堂が半壊し、同級生の三宅師も両親を亡くしたと聴き、同級生に声をかけ、支援を取りまとめました。その時に再建されるまでということで、梵鐘を預かったというわけです。仮設のやぐらに吊るされた東禅寺さまの梵鐘は宮城県に向けて撞かれたことでしょう。

 うちの梵鐘は北を向いているので、東北の被災地へ届くように、復興への願いを込めて百八つの鐘を撞きました。弟子の光尚とお菓子を百八個選び鐘を撞く人に配りました。東禅寺さまの本堂は津波で大きなダメージを受けていますが、三宅師は先代住職であり、父親でもあった師匠の建てた本堂を修復して使いたいと言ってました。私も、それがいいと思いました。

 東禅寺さまの本堂が復興されれば閖上の人たちの希望の灯となるでしょう。津波で大きな被害を受けた被災地は、まだまだ大変な状況にあります。しかし、全国の仲間が被災地を支援しています。多くの人が心を寄せていますので、必ず復興できると思います。

 昨年、閖上を訪問した時の様子は住職のブログ「山寺日記」で

2013-01-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

九州と東北の被災地が絆でつながりました。

 11月27日、熊本県で行われる九州管区の梅花流奉詠大会と岩手県宮古、宮城県気仙沼、福島県伊達市の会場がインターネットのライブ中継でつながるという話を永平寺同安居(同日上山)の法友、九州師範会の会長を努める大分の甲斐之彦さん聞き、ちょうど同じ日に同安居会が宮城であったので、気仙沼まで足を延ばしてみました。

 気仙沼会場は旧知の梅花師範工藤霊龍さんが住職を勤める青龍寺さまです。気仙沼港に近く、津波の被害の大きかったエリアですが、斜面にある四階建てのお寺だったので、建物は大丈夫でした。しかし、門前は人が住めない状態です。本堂の中に入るとそこでは60名ほどの地元の梅花講員さんが、集まって中継に臨んでいました。特設スクリーンには、九州大会のステージの様子や、宮古会場に集まった講員さんの姿が映し出されています。その様子をインタ―ネットで全国、いや全世界の人が視聴することが出来るのです。まさに、梅花を御縁に九州と、東北の被災地がつながった瞬間でした。そして、全国の梅花講員が絆で結びついていることを確認できました。

 気仙沼も、その後訪れた南三陸も、いまだに瓦礫があちこちに積み上げられ、防波堤も土嚢による仮設のものです。大きな余震が来て再び津波が押し寄せたら、ひとたまりもありません。そうした中でも人々は、プレハブの復興商店街で飲食店や商店を営んでいました。その日は雪が舞う寒い日でした。東北の冬の到来は早いです。一日も早く復興が進むことを、暖かい春がやってくることを祈念し、今年の最後の月々の法話を結ばさせて頂きます

2012-12-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

道心利行の実践-向き合うということー

 10月14日に大阪巡回へ出発し20日の最終で寺に戻りました。翌日法事などを済ませ、宮城県亘理町荒浜の當行寺様へと向かいました。昨年の7月5日にも慰霊法要で行っているので今回で二度目になります。
  昨年は、境内や墓地にも津波の爪痕が残っていましたが、かなり整備され、本堂が青空に映えていました。
 その當行寺さまの本堂の中には真新しい提灯がたくさん掛けられています。いったい、いくつあるのでしょう・・・

 この地域では、新盆を迎える時、戒名や名前を書いた提灯を上げる習慣があったそうです。しばらく、そうした習慣も行われなくなっていたそうですが・・・、東日本大震災で亡くなった檀家の方の供養のために今回戒名と歿年月日、俗名、享年を記した提灯を新調し掛けたそうです。

 一つ、二つ、三つと数えて・・・、これは、そういう風に数えてはいけないものだと思いました。この提灯一つ一つが、世の中でたった一つの尊いもの・・・。それぞれの人が歩んだ証拠であり、人生そのものなのです。當行寺の住職さんは、提灯を見るたび、そこに書かれた人の姿が頭の中に浮かんでくるそうです・・・

 昨年の7月5日の法要の際、住職さんは、「今は大変な状態ですが、必ず復興しますから、復興した姿を見に来てください。」と言われました。被災地での供養は、別な場所で行うことも考えられましたが、継続することが大事であり、これからの復興の様子を見守ることこそ、被災地の人にとっては、復興へのモチベーションとなり、明日への希望となるのだと思います。そういう意味からも、支援というのは長く続けることが大事なんだなぁ と、改めて感じた次第です。

 特派師範有志では、来年もここに来ることにしました。檀家さんが亡くなった時、一番身近で遺族に寄り添うのが菩提寺の僧侶です。そして、それは、葬儀の時だけ終わるのではありません。百日後、一年後、二年後、ずっとずっとご遺族とともにあってその心に寄り添うのが菩提寺の役目なのです。まさに、それこそが、「向きあう」ということだと思います。

2012-11-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

道心利行御和讃の解説 4

3、生死流転(しょうじるてん)の現世(うつせ)にも
   心(こころ)を澄(す)まし 爽(さわ)やかに
     今日(きょう)の勤(つよ)めを励(はげ)みなば
       菩提(ぼだい)の月(つき)は 宿(やど)るなり
   あなたを信(しん)じ 支(ささ)えあい
     希望(のぞみ)を抱(いだ)き 進(すす)み行(ゆ)く

 道心利行御和讃の解説の最終回です。意味の解説は作詞された遠藤長悦老師にお任せし、別な角度からこの歌詞を味わいたいと思います。「利他行」は実践行です。東日本大震災では被災地へ行って活動する人の姿が多く見られ、それは今も続いています。しかし、いろいろな事情で現地に行けない人もいます。行けなければ何の役にも立たないのかというと、そうではありません。被災地の人々の心の支えには誰でもなれるのです。
 去年、秋田県曹洞宗青年会の法友の紹介でから「ビハーラ」の復興Tシャツの存在を知り、それで、東北復興支援Tシャツを檀家さんにも勧めて、たくさん購入しました。今年も追加購入させて頂きましたが、それは、岩手県大槌町のサッカースポーツ少年団のユニフォームを贈るという支援につながりました。そのシャツを作った印刷業者さんからは、復興支援の「さけ最中」が送られてきました。鮭は、故郷に戻ってくる象徴だそうです。人と人とつながり、「絆」という言葉をあらためて感じた出来事でした。
 「今日の勤めを励みなば」という詞には、我々が毎日勤めていることの大切さが言い表されています。正しい心を保つにはこの日々の勤めが大切です。信じられる間柄であることも大事です。あなたを信じ、支えあって、進んでいきたいものです。希望を抱いて・・・

2012-10-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

道心利行御和讃の解説 3

2、山河自然(さんがしぜん)の厳しさと
   恩恵(めぐみ)に而今(いま)を生かされて
     利他(りた)の功徳(くどく)を積む人の
       花の笑顔(えがお)ぞ美しき
   あなたと共(とも)に  伝えあう
     正しき法(のり)灯火(ともしび)を

 6月に巡回で足を延ばして訪れた礼文島では、海岸付近でも珍しい高山植物がみられます。高山植物は、環境の過酷な標高の高い山で見られる植物ですが、それが、高緯度にある礼文島では、山に登らなくても普通に見られるのです。それは、ただ単に緯度が高いというだけでなく、季節風が吹き抜ける厳しい環境である証拠でもあります。特に、礼文島固有の美しいクリーム色の花を咲かせるレブンアツモリソウ、氷河時代の生き残りともいわれるレブンウスユキソウは島の宝です。そうした、厳しい環境の中で美しい花を咲かせる高山植物、まさに、「花の笑顔ぞ美しき」という言葉が実感できる風景です。人間も齢を重ね、数々の人生の荒波を乗り越えると、それが美しい表情に現れてきます。苦難を乗り越えてきた人は、他人への心遣いが出来る人間になれますし、その経験により強い心を育んでいます。利他行を実行できる心が備わっている人と言えるでしょう。

 昨年、東日本大震災の被災地へ真っ先に阪神大震災を体験した人が支援の手を差し伸べてくれました。津波で被災した寺院の僧侶方が法衣や足袋が無くて困っていると聞いて必要な物を真っ先に取り揃えて送ったのは兵庫県の僧侶の方です。非常時に効果的な支援を行うには、正しい情報を得るのが大事です。大震災の時は、僧侶のネットワークが有効で、支援の輪を広げるのに役立ちました。そして、今も必要な人や場所に必要な支援が届くようにその輪を広げる活動が行われています。ひとつひとつの灯し火は小さくても、その数が増えていけば、世の中を、そして、人の心を明るく照らす光となるでしょう。

2012-09-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

道心利行御和讃の解説 2

1、衆生(しゅじょう)済度(さいど)の誓願(せいがん)に
  常に在(ましま)す 御仏(みほとけ)の
   慈悲(じひ)の光(ひかり)に照らされて
    命 耀(いのちかが)よう 嬉(うれ)しさよ)
  あなたの真前(まえ)に  向き合わん
   利行(りぎょう)の道の 同朋(とも)として

 衆生済度は我々仏教徒の誓願です。その活動をする時、み仏に守られ、み仏の光に包まれた感じがします。歌詞には文語体が多く使われています。「輝く」でなく、「耀よう」とされていますが、短歌などではよく使われる表現です。ひとつひとつの尊い命が、輝いているのです。
 そして、後半の二行は、我々仏教徒が実践を誓う言葉です。そう思っても、なかなか相手の正面にいって向かい合うというのは勇気がいるものです。利他行を志す人へ、今こそ行動するんだと勇気を与えてくれるメッセージになってます。この和讃を作詞されたのは元特派布教師で千葉県の遠藤長悦老師です。布教師として全国を回った経験が歌詞にも生かされています。今回、北海道を特派巡回する中で、千葉県での特派巡回を終えて苫前に戻られた特派布教師の坂川資樹さんとお蕎麦を食べながら懇談することが出来ました。特派布教師さんは、今年、巡回に出る前に福島県に行き、原子力発電所の事故影響などを見てきたそうです。 まさに、「向き合う」という姿勢が見える自主的な行動だと思いました。私も、「あなたの真前に 向き合わん」という言葉を胸に進んでいきたいと思います。

2012-08-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

 

道心利行御和讃の解説 1

 北海道第三宗務所の梅花流特派巡回で稚内、利尻、中川、留萌方面を回ってきました。巡回中の一週間は天候に恵まれました。利尻富士の雄姿を見ることができました。そして講習では、 5月29~30日に開催された、梅花流創立60周年記念奉詠大会で発表になった「道心利行御和讃」などを講習してまいりました。

 北海道へ行くのは今回で8回目です。初めて行ったのは大学4年の時、今から30年前になります。京都の法友と車で北海道を半月かけて一周しました。道内の後輩のお寺などに泊めてもらいながらぐるっとまわり、果てしない大空と広い大地にふれて、心も少し大きくなったように感じた旅でした。
 その時、苫前の晃徳寺さまから宗谷岬へ向かう途中で見た利尻富士が忘れられず、いつかはあの島に渡ってみたいと思ったものです。今回その夢がついにかないました。6月24日に礼文島に渡り、高山植物の花が咲く島内を観光したあと、利尻に渡りました。礼文島は緯度が高く、高い山がないため風が吹き抜け大きな木が育たず、本州の高山と同じような厳しい環境にあります。そういう厳しい環境だからこそ、貴重な植物が今も生育しているのです。利尻島は、海に浮かぶ独立峰です。一年中雪が残り貴重な生態系が残っている水の豊かな島です。

 厳しい環境が生み出す美しさ、そして、豊かな恵み、道心利行御和讃にはそんな言葉もあります。講習を通じて感じたことを含めて、来月は一番の歌詞から解説をしていきたいと思います。

2012-07-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed