月々の法話

月々の法話

禅の友


アテネオリンピックでおおいに盛り上がった夏休みも終わり、残暑はあるもののすっかり秋の気配です。 曹洞宗発行の檀信徒向け月刊誌「禅の友」に特派布教師でもある、石川光学老師のお話しが載っていました。その中に、芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」で、蜘蛛の糸を登りきれずに地獄へ戻ったカンダタがその後どうなったかを想像したものです。石川老師の考えるその後のカンダタについては、「禅の友」9月号を御覧頂くとして、私の想像したその後のカンダタをお聞きください。 「その後、地獄で長いこと暮らしたカンダタは、地獄での生活にも慣れ、友達も大勢できて、毎日を送っていました。そんなある日、再び蜘蛛の糸が遥か上から垂れ下がってきました。しかし、カンダタはもう、先を争って登ろうとはしません。先を争うとまた切れてしまうから、他の人に先に登ってってもらい、自分は後から登ろうとしたのです。蜘蛛の糸はすべての人を地獄から脱出させることは出来ず、また、途中で切れてしまいました。でも、人を先に行かせ、地獄に残った人たちの回りには、蓮が芽を出し、やがてきれいな花を咲かせました。もうそこは、地獄ではありませんでした。全てをご覧になっていたお釈迦様は静に微笑を浮かべました。」というものです。 2003・12・1の法話でも述べましたが、世の中を地獄にするのも、極楽にするのも人々の心が決めるものだと思います。それにしても、アテネオリンピック男子ハンマー投げの金メダリスト室伏選手の正々堂々とした態度はかっこよかったですね! それから、「禅の友」9月号読者の広場には、うちの檀家さんの藤田喜美さんの投稿「たのしい写仏」も掲載されています。「菩提寺のご住職さま・・・・」とあるのが実は私です。
2004-09-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

関連記事