月々の法話

月々の法話

親思う心にまさる親心


10月に、梅花の特派巡回で山口県へ行きました。下関から小野田、萩、田万川といった所を回りました。萩へ行くのは今回が三回目になります。長州藩の本城、萩城のあった萩市は、明治維新の魁となった所です。吉田松陰が開いた松下村塾,そこは若い長州藩士達が志を学んだところです。 「親思う心にまさる親心 今日のおとずれ、なんと聞くらん」この歌は、安政の大獄で刑死させられた、吉田松陰が故郷の両親に送った辞世の歌だといわれています。私は、高校の修学旅行で萩を訪れた時、この歌を知り、お土産にその歌の書かれた絵馬を買い求め、机の上に飾りました。 自分の命は自分だけのものではない、大切にしなければ!とこの歌を心に刻みました。私が、中学二年の時、父は急逝しました。その時母は、39歳でした。厳しい母に反抗することも多かった少年時代、この歌に接し、母の本当の思いがわかったような気がしたのです。 また、巡回の終った翌日、長門市の仙崎へ行きました。仙崎は、戦後大陸からの引揚者や復員兵が、上陸した港です。引揚港であった事を示す、「この様なことが二度とあってはならない!」という、長門市長の言葉が刻まれた記念碑がありました。 数々の苦難を乗り越え、母なる日本の大地に戻って来た方々の心を思うと感無量です。また、遥かな異国の地で、親を思いながら、故郷を思いながら亡くなっていった方々のおもいの数々も、私たちは伝えていかなければと思います。
2004-11-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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