月々の法話

月々の法話

日本の宗教は祖霊崇拝


戒名をつけて頂き、仏教で弔われた戦没者が神様として、靖国神社に祭られているというのはおかしい!という方もいるかと思います。靖国神社については政治問題、国際問題になっているのでここでは深くはふれませんが、一般的な日本人にとっては、それは別におかしいことではないともいえます。 それは、ふだんの信仰にもあらわれています。お葬式は仏式で行っても、お正月には神社に初詣をする人も多いわけですが、実はそれも日本人の意識の中ではあたりまえの事です。仏教徒といっても特定の宗派の教義を信奉しているというよりは、祖霊崇拝が信仰の中心になっているからです。仏教自身が、教義を、広めるというよりも、その祖霊信仰の中に進んで取り込まれていくことにより、勢力をひろげてきたともいえる訳です。神社もお寺も自分達の祖霊を祀る存在です。そして、祀られた祖霊が自分達や子孫を守ってくれるというのが信仰の根底にあるわけです。 日本人は、山・太陽・滝など、大自然を崇拝しそこに神仏を見出してきました。仏教や神道もそうした日本人の原初的信仰と一体化されていたです。明治以降、神仏分離により、そうした神々への信仰が国家神道へと、また、仏教へと分離された訳ですが、心までは分離されなかったともいえる訳です。 檀信徒のお寺に対する期待は、葬儀や法事など先祖供養です。僧侶としては坐禅などにも親しんで頂きたいと思うのですがなかなかうまく行かないのもそのあたりに原因があるのかもしれません。最近、そうしたあたりまえの日本人の信仰というものを大切にしていきたいとも考えています。その中で、仏の教えを分かりやすく伝えていきたいと思います。早いものでもう9月、秋のお彼岸ですね。
2005-09-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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