月々の法話

月々の法話

はじめからうまくはいかないよ!


 今年もいよいよあと一月を切りました。なにかを成し遂げた人、結果が残せなかった人などそれぞれかと思います。

 皆様もよく聞く古典文学作品「徒然草」の第150段に次のような言葉があります。

能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、いと心にくからめ」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。

 さて、その意味は、芸を習う人が人前での失敗を恐れて、誰にも知られないように練習し、うまく出来るようになってから発表しよう!などと考えているとしたら、けっして芸を得ることが無い。ということです。

 吉田兼好法師の言葉は、我々に勇気を与えてくれます。人は、とかく人前での失敗を恐れて、舞台にたつことをしり込みしてしまいますが、失敗を恐れることは無いのです。失敗は成功のもと!という言葉もありますが、何事も最初からうまく出来るはずはありません。人前で恥をかいて、冷や汗を流して、それを積み重ねて上達するのです。

 道元禅師も「正法眼蔵」-説心説性-の巻で「今の一当は百不当の力なり」と述べられています。すなわち、百不当の失敗は、恥ずかしいことでは無く、それこそが尊いことだ!ということをおっしゃられています。

 皆さん、失敗はするものです。それを恐れて前へ行くことをためらっては何事も成さないのです。

 能をつかんとする人は、兼好法師の言葉を、そして、道元禅師の言葉を糧に、前へ進んで行こうではありませんか!2007年(平成19年)がやって来ます。何かに挑戦してみませんか何も心配することはありません!だって、何事も、はじめからうまくはいかないのですから。

2006-12-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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