月々の法話

月々の法話

インレー湖 水上に暮らす人々


 2月19日に出発し、ミャンマー連邦へ戦没者の慰霊と、仏跡巡拝の旅をしてきました。黄金のパゴダが見事でししたが、一番印象に残ったのは、人々の暮らしです。
 特にインレー湖という湖の周辺で暮らす人たちの暮らしぶりが心に残りました。雨季と乾季で4mも上下する水面、人々はそれに合わせて、浮島の畑までも上下させてしまいます。生活用水はもちろんインレー湖の水です。洗面、沐浴、炊事、洗濯などはすべて水上の家から下へ降りてきて行なわれます。トイレも水洗といえば、聞こえは良いですが、そのままインレー湖に流されます。それが、魚の餌になったり、畑の肥料になったり、すなわち、循環型の生活環境が完成しているのです。小舟を足で操る漁師や櫂を上手に扱う子ども達、まさに、湖と一体になった水上生活がそこにはありました。子ども達には笑顔があり、人々は明るいです。

 しかし、この生活をいつまで続けられるのか、心配もあります。ミャンマーの大地にジャングルはもはやありません。赤茶けた土地が広がっています。チーク材などの用材は切り出され、雑木は燃料として燃やされてしまいました。乾季にはほとんど雨が降らないミャンマーでは、人が植林をしないと樹は育たないのです。また、周辺の住民や観光客が液体洗剤などの化学洗剤を使い始めたらこの水は死んでしまいます。微妙なバランスの上にやっと成り立っているのかもしれません。

 将来、インレー湖の美しい水が減少することが予想されています。また、最近、雨季には異常な水位の上昇がみられるそうです。地球上の宝物のようなインレー湖の暮らしがこのまま続くことを願いたいものです。

 画像は住職のブログ山寺日記「インレー湖!水上に住む人々」で
2007-03-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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