月々の法話

月々の法話

親離れ、子離れ


 小さい子どもは、あるとき自分でいろいろやりたくなるそうです。たとえば、お母さんのお手伝いとか・・・。子どもは最初から上手くいきませんので、失敗したり、親に手を貸してもらうことになります。この最初の自立の機会をどのように体験させるかが、その後の人生にとって重要なことなのです。
 子どもにやらせるよりも自分でやったほうが簡単ですから、もし、子どもがやりたいという時に手伝いをさせなかったり、そんなにいうなら勝手にやってみろ!と突き放してしまったら、子どもは思うようようにうまくいかず、いじけてしまったりします。そうした態度は貴重な子どもの自立の機会を奪うことになってしまいます。

 同じようなことが、思春期にもあります。今、私は娘の通う高校のPTA会長を務めているのでそのような時期を迎えた生徒たちと接する機会が増えました。子どもは、自分で判断して、自分の力で解決したいと思うようになります。しかし、自分の力だけでは上手くいかず失敗したり、回り道をしたり・・・。親としては、子どもが転ばないように口うるさく言ったりしたりしますが、逆にそれをうっとうしく思われたりもするものです。人からいくらいわれてもわからないことも、自分が怖い目にあったり、大きな失敗をして初めてわかるものです。人間は、失敗から学ぶことが多いです。そうした経験を重ねながら、やがて、子どもは自分の力で歩んでいくことになるのでしょう。そうすると、今度は、親の方が子離れをしなければならないときを迎えるのかもしれません。
 しかし、実際は、これが中々難しいようです。親も自分の趣味を持ったり、人生というものへの考えを深めたりしていくことが必要だと思います。
 「本来無一物」という禅の教えが一つの答えを示してくれるかもしれません・・・。

2008-02-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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