月々の法話

月々の法話

雨ふらばふれ、風ふかばふけ


 雨が多い5月でした。台風のような猛烈な雨風があったり、梅雨に入ったかと思わせる冷たい雨が降り続いたりしました。じめじめした雨が続くと心も重くなるような気がします。

 そんな中で、大子ジュニアレスリングクラブ結成25周年の式典に招待され、福島大学教授白石豊さんのお話しを聴く機会がありました。白石先生は、多くのトップスポーツ選手の心理的サポートを行い成果を上げている方です。
 本番に強くなるにはどうしたらいいか、どういう心理状態でいればよい結果が出るかを研究し、選手のサポートに生かしています。その中で、姿勢が大事であると言う話しをされました。形から入るのが一番手っ取り早いというのです。そういえば、坐禅もそうです。身を整え、息を整え、そして心を整えていきます。姿勢といえば、腰から三つ上の背骨を前に突き出すようにして背筋を伸ばし、上半身の力を抜くと一番安定して揺ぎ無い体勢を作る事が出来るという話しでしたが、まさにそれは坐禅をする時の姿勢です。

 心の持ち方としては、緊張して震えがきた時、それを止めようとするのではなく、緊張するのは当たり前、と冷静に自分の状態を把握し、多少はプレッシャーがあった方が力が出せると考えれ良いのだそうです。
 もし、嫌になるような暑さの日でも、暑いのは相手も同じ、自分は暑さには強いし暑くても平気だと考え、もし、雨が降っている状況で試合をしなければならなくなったら、滑ったらどうしよう・・・などとマイナス面を考えるのでなく、雨に対する備えは出来ている。雨によって、自分の方が有利になると考えれば良いそうです。

 こうした心の持ち方も禅の教えに通じるものがあります。一休禅師が詠んだといわれる歌には「雨ふらばふれ、風ふかばふけ」という言葉が出てきます。道元禅師も「暑熱をおづることなかれ、暑熱いまだ人をやぶらず、暑熱いまだ道をやぶらず。ただ、不修をおづべし。」と『正法眼蔵行持の巻』の中で述べられています。暑いなぁ、寒いなぁと愚痴を言っても暑さ寒さが和らぐわけではありません。それよりも、暑い日には汗をかき、雨の日には雨を楽しむ生き方をしてみませんか!

2008-06-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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