月々の法話

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「おくりびと」に思う


 本木雅弘さん主演の映画「おくりびと」が話題になっています。国際的にも評価され、表彰も受けました。本木さんが出演した映画というと、「ファンシイ ダンス」が印象に残っています。修行道場での生活ぶりを青春群像として面白く描いた映画でした。原作は茨城県土浦市出身の岡野玲子さんが書いた漫画で、彼女が知り合いから聞いた僧侶の僧堂生活を元に書いたと言われています。岡野さんは私と同じ年の生まれなので、もしかするとそのモデルになった僧侶を私は知っている可能性もあります。その岡野玲子さんは、手塚治虫さんのご子息手塚眞氏と結婚されているということを最近知りました。

 話を戻します。「おくりびと」は納棺師という職業を題材にしています。映画化にあたっては主演の本木さん自身が原作者でもある納棺師の所をたびたび訪れ、構想を深めていったそうです。実体験からきた死者を送る場面が、この映画をより人の共感を生むものへとしたのでしょう。

 納棺は、当地では入棺(にっかん)とよび、ごく身内で行なう葬送行事です。納棺師と呼ばれる人は立ち会わず、ごく身内の人で行なわれます。私も、僧侶という立場で、亡くなった人をお送りする役目をになっていますが、入棺に立ち会う事は希です。実は、まだ、この映画を観ていないので機会があったら映画館に足を運んでみたいと思っています。

 火葬場で遺体を焼く作業をしている人や、葬送儀礼に立ち会う葬儀社に向けられる世間の目はあまり良いものとはいえませんでした。しかし、この映画によってだいぶ変わったそうです。亡き人をお送りする葬送という事について、来月も引き続き考察を深めて参りたいと思います。

2009-03-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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