月々の法話

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山のてっぺんに湿原を持つ田代山


 7月20日の海の日、栃木県と福島県の県境にある太平洋と日本海の分水嶺、田代山に長男の光尚と登ってきました。田代山はプリンの形にたとえられる、山上に広い湿原を持つ不思議な山です。地域的には群馬と福島の県境に広がる尾瀬にも近く、隣接する帝釈山とともに尾瀬国立公園に含まれています。ただ、湿原自体が1973mの山頂近くにあるため、尾瀬ケ原よりも500mは標高が高く、人も押し寄せないため、ゆっくりと高層湿原の雰囲気を楽しめます。湿原には木道が整備され、湿原の高山植物を眺めながら一周することが出きます。山のてっぺんだというのにあちこちから水が湧き出している不思議な場所です。

 7月中旬はニッコウキスゲが遅い見頃を迎えていました。その元のほうにはよく見ると食虫植物のモウセンゴケが自生しています。食虫植物というとちょっと怖い感じがしますが、実は養分が少ない厳しい生息環境で生き延びるため、虫からも栄養をとるようになったそうです。ここで多く見られるタテヤマリンドウもキンコウカも非常に小さく、環境の厳しさを伺えます。また、逆に厳しいからこそ、他の植物が入り込んで来ない訳で、土が富栄養化したり、水が湧き出さなくなったり、地球環境が変わってしまったりしてしまえば、これらのか弱い植物は消えてしまうでしょう。

 下界は30℃を越える日でも、山上には冷たいぐらいの風が吹き抜けていました。まさに、山の上の楽園です。アキアカネにまじって珍しいオオルリボシヤンマが飛び回り、いろいろな蝶が飛び回るのを見ながら、自然の不思議さを感じました。帝釈天に守られているかのような存在の田代山の湿原がこのまま後世に残って欲しいと思いました。

 山登りの様子は、住職の山歩きで御覧下さい。

2009-08-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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