月々の法話

月々の法話

狭くたってかまわない、私たちはここでやるんだ!


 先日、NHKのニュースを見ていたら、気仙沼市本吉地区にある小泉中学校での運動会の様子が、短い時間でしたが放送されました。校庭の4分の3に仮設住宅が建てられ、直線で65mしかとれません。他の場所で運動会を開催しようという話が出たのですが、生徒たちは、狭くても自分たちの学校の校庭で運動会をやりたいと申し出て、狭いところで実施できる種目を自分たちで考え実施したそうです。

 小泉中学校といえば、前記事で紹介した通大寺の金田さんからの依頼で大子の大工さんに縁台を運んでもらったところです。運ぶ事になった時に、場所や状況をネットで調べのですが、そうしたら、震災後、海岸部は津波などで壊滅的な被害を受け、当初は540人の住民が避難したのがこの小泉中学校でした。交通が寸断され、物資が極端に不足し、大変な思いをしたということを知ったのもこの時です。中学生たちはそうした困難な状況の中でも、助け合って避難所の運営にも協力していました。

 実は、運んでいるその日にも大きな余震があり、津波注意報が発令され、道路が一時通行止めになりました。大工さんの携帯からは発信が出来なくなり、大子にいる私を通して、小泉中学校の関係者と連絡を取り合いました。ですから、頭の中でイメージとしては小泉中学校というのがありましたが、実際にニュース映像を見たら想像していたのは全く違っていました。校庭のほとんどに仮設住宅が建てられ、使える部分は本当にわずかです。しかし、そうした中で、元気に走り回り、それを見守る、仮設住宅の入居者の姿を見て、生徒たちの「狭くてもいい、ここで運動会を行い、被災者を元気づけるんだ!」という思いが皆さんに伝わり、素晴らしい運動会の開催につながったのだと思いました。

 自分たちで、実施を決め、種目を考えた中学生たち!彼らは、震災を乗り越え、たくましく成長してることを証明してくれました。その場所に、大子で作られた縁台があることもうれしく感じた出来事でした。

2011-09-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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