月々の法話

月々の法話

人生に感謝する!


6月6日は、私の本師、永源寺前住職中村大信老師のご命日です・・・。老師は、「大子の生仏」と呼ばれるほどおだやかで、人々に親しまれた方でした。 昭和5年に大信老師の父である中村大典老師が亡くなり、私の祖父出村信界方丈が永源寺兼務住職を務めました。やがて、永源寺は、長兄の中村大栄師が継いだのですが、昭和13年に戦死された為、大信老師が一人前になるまでということで再び祖父が兼務住職を務めたという経緯がありました。 また、龍泰院では昭和48年に私の父英信和尚が亡くなり、私が一人前になるまでの10年間、今度は、大信老師に龍泰院の兼務住職を務めていただきました。ですから、龍泰院と永源寺は二代続けて兄弟弟子ということになります。 そうした波乱万丈ともいえる人生を送った大信老師でしたが、けっして文句などを言わない人でした。雨が降ると文句を言い、暑くなればなったで文句を言うのが普通です。しかし、雨に感謝し、雨を楽しみ、汗をかくことをいとわないのが老師の生き方でした。人生の最後の時、苦しみの中で、弟子の信光さんに書き残した言葉は、「人生は楽しかった。」というものだったそうです。 何不自由なく暮らしていながら、口をつくのは愚痴ばかりという人っていますよね!自分のことは後にしても、人のために生きたすばらしい老師の人生を少しでも見習いたいと思っています。 多くを語らずとも、その生き方そのままがすばらしい説法になっている。良く手入れされた庭が訪れる人に禅を説いている。「無言の説法」こそ「無上の説法」である。うしろ姿で人を導ける僧侶でありたいものです。
2002-06-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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