月々の法話

月々の法話

縁は命のつながり


お釈迦様の最後の説法の様子を描かれた当山の涅槃図には、仏弟子たちだけでなく、多くの動物が描かれております。十二支の動物はもちろん、ゾウやツル、サギ、昆虫、ムカデなどまでも集って説法を聞いています。動物達も一様にうなだれ、悲しんでいるように見えます。 「袖、振り合う多生(他生)の縁」などと申すように、日本人は、人と人が出会うのは宿世の因縁と考えました。お釈迦さまの説かれた「縁起」は、「縁りて起こる」という意味で、「原因があって、結果がある。いろいろな現象はみんなどこかでつながっている」という考えが基本にあります。「縁」によって生きものはつながっているともいえるのです。遺伝子やDNAの研究がすすみ、科学的にも現在の人類はすべて、生命のつながりがあることがわかってきました。地球上に存在するすべての生きものも、多かれ少なかれ縁があるともいえるわけです。 道を歩いていてすれ違っただけの人とも、どこかでつながっている。人だけではなく、生きとしし生けるすべてのものは、命というものでどこかでつながっている。お釈迦様の教えの基本に、この命のつながりがあります。
2004-03-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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