月々の法話

月々の法話

幼い頃に抱かれた・・・・ 


3、幼い頃に 抱(いだ)かれた  温(ぬく)もり今も 忘れない
  この世でうけた 幸せを そっとあなたに ささげましょう
  ほほえみひとつ、涙ひとつ 出逢いも別れも 抱きしめて 
  生きてる今を 愛して行こう

 この三番の歌詞は「利他行」について書かれています。

 戦地で亡くなった兵隊さんが、いよいよ最後という時に、心に思い描くのは故郷であり、お母さんの事だという話しを、戦地へ行った方から聞いたことがあります。母親は人間にとってかけがえの無い存在です。
 しかし、その母親が容疑者となる事件が起こりました。母親に手を掛けられたお子さんは、最後の瞬間に一体誰を呼んだのでしょうか?また、親による幼児虐待もあちこちでおこり、死に到る事件も頻繁に発生しています。親によって命を奪われた子ども達は、お盆に帰る故郷さえも無くしてしまったと言えるわけで、その御魂は一体どこへ帰ったらよいのでしょうか?あまりにも悲しい事件です。

 子どもは、親だけでなく、おばあさんやおじいさん、ご近所の人たちも含めて、多くの人との係わり合いの中で育てられてきました。しかし、現代社会では、お母さんと子どもだけの狭い世界で育てられることが増えてきて、本来、喜びであるはずの子育てが、苦悩になったり、ストレスがたまったり、自分の子どもを可愛いと思えない親が増えてきているのも事実です。

 そんな時、難しい事を考えず思いっきり抱きしめてみませんか!子どもと一緒になって遊んでみませんか!幼い頃に抱かれたという記憶!お父さんお母さんに大切にされたという思いがあると、人間はどんなつらい時でも生きていく希望が湧いてくるのです。

 そうして、自分が大切にされてきた、愛されてきたということを、他の人へさしむけていく、幸せを分かち合う。そうしていけば、世の中が住みやすくなるのではないかと思います。奪い合うのではなく、物や幸福を分かち合っていくのが仏教の教えです。お盆の季節、分かち合う幸せを感じ、実践して頂きたいと思います。幼い頃に抱かれた温もりを思い出しながら・・・

 来月は一番、二番、三番の歌詞をに共通する後半の部分を解説します。

2006-08-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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