月々の法話

月々の法話

ずっと歩いてきました・・・


 3月31日に龍泰院を出発した、茨城県曹洞宗青年会の慰霊行脚の一行が4月2日に水戸の祇園寺さんに無事到着しました。今回は3日間という短い日程でしたが、冷たい雨がふったり、強風が吹き荒れたり大変だったと思います。

 出発式の時、挨拶をさせていただきました。「交通事故遺族は、突然の悲しみになかなか心を癒されることはありません。事故現場へ毎月行って花を手向ける方もいれば、胸を締め付けられるような思いがして、事故現場に近づけない方もいます。亡くなった人の無念の思い、そして、遺族の方の思いはこの冷たい雨が表しているのかもしれません。10年間交通事故撲滅運動に取り組んできた皆さん方が慰霊に来てくれたことで、この地の交通事故殉難者はきっと安らぎ得ることでしょう。そして、遺族の方も癒されると思います。」と・・・
  10年前、私が青年会会長の時、茨城県縦断慰霊行脚として北茨城から守谷まで、7日間かけて歩いたのが、始まりでした。それから、青年会では、毎年春と秋に県内各地で慰霊行脚を行い、5年前には結城から大洗まで5日間かけて、茨城県横断慰霊行脚(月々の法話2003・6・1「菩薩がいた」参照)を行ないました。

 法律の厳罰化、車の安全性の向上により確実に交通事故死者は減少してきました。しかし、幸せに暮らしていた人が、突然、被害者や被害者家族として、または、加害者として苦しみのどん底に叩き落されるのが交通事故です。
 そうした人々の苦しみ悲しみを救えるのが菩提心を持った僧侶だと思います。今回初めて参加した人は、想像以上の足の痛み、風の冷たさを感じたことでしょう。それは、実際に歩いてみないとわからないことです。いつも車で通り過ぎる場所も自分の足で歩いてみると、いつもと違う景色に気づき、そこに暮らす人たちとふれあうことが出来るはず。きっと貴重な体験をしたこと思います。

 祇園寺さんへたどり着いたとき、水戸は桜が満開になってました。10年かかりましたが、なくなった方の無念の思いが癒されたのかな?そう思わせるのどかな春の夕暮れでした。

2008-04-03 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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