月々の法話

月々の法話

相手の立場を思いやる心


「粋な黒塀 見越しの松に 仇な姿の洗い髪・・・」

 昭和28年に、春日八郎さんが歌って大ヒットした「お富さん」という歌ご存知ですか?最近になって初めて一番の歌詞の最後に出てくる「玄治店(げんやだな)」という言葉が、江戸時代初期の名医、岡本玄治に由来する地名であると知りました。

 岡本玄治は、三代将軍家光公の疱瘡の治療をする際、春日局のクレームにも毅然として対処し、見事に治したことから名をはせたと言われています。「医は仁術なり」といいますが、現代社会では、そうした医師へ対する尊崇の念が薄れてきていると思わせる様々な事案が起こっているようです。
 たとえば、緊急性が無いにもかかわらず救急車を利用したり、また、病院の中だというのに些細なことで怒り出す人、医師や看護士に食って掛かる人も増えているそうです。救急車で運ばれた人を治療したが、患者が治療代を払わずに逃げてしまったり、そのほかにも治療費を払ってもらえず未収になっている問題も増えているそうです。

 地方では医師不足も心配ですし、高度な医療を受けられないという問題があります。いずれにしても命に関わる問題ですので、みんなで考えていかなければならないと思います。
 お金が無いわけでもないのに子どもの給食費を払わない親、自分や家族の治療費を踏み倒す人、以前は考えられなかった話しです。自己中心的な考えの人、自分に都合のよい理屈を捏ね回す人が増えているのだと思います。

 相手の立場を考えられる心、思いやり、謙虚さ、これらの心を育んで頂きたいと思うのですが・・・

2007-10-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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